対談

第43回 伝票の標準化とデジタル化を推進する TSUNAGUTEのファーストユーザーに

大塚倉庫は、日本パレットレンタルが伝票の電子化を目的に2018年9月に設立したTSUNAGUTE(ツナグテ)のファーストユーザーに名乗りを上げた。荷主ごとに仕様の 違う紙伝票の標準化とデジタル化によってサプライチェーンに革新が起きる。それが共同物流をさらに促進することになると考えるからだ。(進行役:本誌編集部)

TSUNAGUTE
代表取締役社長
春木屋悠人
大塚倉庫
代表取締役社長
濵長一彦
大塚倉庫
代表取締役社長
濵長一彦

紙の伝票をなくしたい

─日本パレットレンタル(JPR)がTSUNAGUTE(ツナグテ)を設立するに至った経緯を教えてください。

TSUNAGUTE 春木屋悠人 代表取締役社長「2018年4月にJPRで『パレット伝票』(レンタルパレットを受け渡す際に使用する4枚つづりの複写式紙伝票)を、スマートフォンアプリを利用したパレット伝票電子化システム(以下、epa1DD)に置き換える仕組みをつくったのですが、これが大変に評判がいい。パレット伝票の回収や仕分け、入力、保管などが不要になった。現場で手続きが完結するので、実際の枚数と伝票に書かれた数が違うということもない。これまでユーザーとJPRの双方で大変な手間をかけていた照合作業が要らなくなりました。大塚倉庫さんをはじめ12月末時点で既に97社に導入いただき、これからもっとユーザーが増えていく見込みです」
「しかし、パレット伝票が電子化されても肝心の商品伝票が紙のままで、フォーマットも各社ばらばらという状態では合理化効果にも限界がある。物流全体の効率化のために、さらに先に進もうという狙いから新会社を設立することになりました。そして大塚倉庫さんには当社のファーストユーザーになっていただいた。実はパレット伝票の電子化から始まった一連の動き自体、大塚倉庫さんに背中を押されて進めてきたことなんです」

大塚倉庫 濵長一彦 代表取締役社長「JPRのレンタルパレットはわれわれの『共通プラットフォーム』にとって欠くことのできない基盤です。共同物流に参加するメーカーにそれぞれ独自のパレットを持ち込まれたら大変なことになる。標準化されたレンタルパレットがあるからわれわれは憂いなく外販を伸ばせる。しかし、今の仕組みだと荷主の数が増えるごとにパレット伝票の枚数が増えてしまう。そこでJPRの加納尚美社長が一昨年われわれの『ID倉庫ID運輸』を視察された際に、『パレット伝票をやめてしまいませんか』とご提案しました。すると驚くほど機敏に反応してくれた。短期間で素晴らしい仕組みができ上がり、現場は大変に喜んでいます」
「そこで次は商品伝票でも同じことをやりましょう、JPRが本気になってくれるなら、うちは付いていきますとお伝えしました。大塚倉庫は『コネクティッド・ロジスティクス』をコンセプトに掲げています。物流情報を全てデジタル化してサプライチェーン全体で共有することで効率化とサービスの高度化を進めていきたい。そうすることで当社だけでなくサプライチェーン全体が恩恵を受ける」
「しかし、われわれのような一民間企業がいくらそう主張しても幅広い協力を得るのは難しい。その点をJPRさんに期待しています。JPRは民間企業とはいえ公益性を持っている。創業から40年にわたりパレットの標準化運動に取り組み、JPRが事務局を務める『P研』(食品業界の一貫パレチゼーション推進を目的とする任意団体)には食品業界の主だったメーカーと流通業者のほとんどが参加している。そこで培ったネットワークやノウハウを商品伝票の電子化に生かしてもらいたい」

ツナグテ・春木屋「親会社のJPRは、創業当初より一貫して、『標準化』『共用化』を軸に、社会の公器として物流の効率化に寄与することを目指してきた会社です。その哲学を新会社でも受け継ぎます」

─ツナグテのビジネスモデルは?

ツナグテ・春木屋「加食、日雑、医薬品業界のメーカーや流通業者、物流会社にクラウドサービスをご提供して、お客様からはサービス利用料を頂戴します。伝票レスが最終的なゴールですが、まずは伝票の標準化に取り組みます。今年4月に『統一商品伝票発行サービス』をリリースする計画です。われわれが構築するクラウド型システムを使って、統一化された伝票を発行できる。伝票情報はもちろん受領印が押された伝票をスキャナーで取り込み電子化し、出荷の伝票情報とつなげることで、問い合わせへの対応や確認を効率化します。この段階ではまだ紙は使いますが、複写式の伝票がA4用紙1枚になるので伝票発行コストも大幅に削減されます」

大塚倉庫・濵長「今はメーカーごとに伝票を印刷して、それを納品先別にまとめる作業に配車係が毎日2〜3時間をかけています。それが恐らく30分程度に短縮される。またメーカーから納品伝票の確認の依頼を受けると、伝票の束を詰めた段ボール箱をひっくり返して探さないといけない。これが本当に大変でお客様を待たせることにもなっています。その作業も要らなくなる。荷主と物流会社の双方に大きなメリットがあります」

標準化はデジタル化の入口

─メーカーは既存の仕組みを変えることを歓迎するでしょうか。

ツナグテ・春木屋「伝票がばらばらで物流現場が困っていても、これまでは何とか物が届いていました。しかし、いろいろな付帯作業が原因で、人手の確保が困難になっています。見て見ぬふりはできなくなっている問題です」

大塚倉庫・濵長「既に大塚グループの各メーカーには打診を入れていますが、どこも理解を示してくれています。そもそもメーカーは伝票のフォーマットにこだわりを持っているわけではありません。必要な情報を管理できればいい。しかも、大手メーカーともなれば年間に使用する伝票枚数もかなりのものになるので、複写式の伝票をやめることによる環境負荷低減効果も小さくない」

ツナグテ・春木屋「今年6月にはトラックの入荷バースを時間予約制もしくは受付順番制にする『入荷予約サービス』も立ち上げます。JPRの取引先約4千社と登録出荷先計6万軒の間では、年間4200万枚に上るパレット出荷と576万件のパレット移動データが発生しています。JPRはepa1DDによって、これを全面的に電子化していきます。ツナグテもパレット伝票の電子化と歩調を合わせてお客様への提案を進めていきます」

大塚倉庫・濵長「パレット伝票のペーパーレス化は難しくないと個人的には考えています。レンタルパレットはJPRによって事実上、伝票が統一されているのだから、JPRがそう決めてしまえばいい。それで利用をやめるというユーザーは恐らくいません。まずはパレット伝票で伝票レスの効果を実際に見せることが、商品伝票の電子化を前に進める力になる。われわれは応援を惜しみません」

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