対談

第40回 進化する日用品プラットフォーム メーカー共同物流の最適解を追求

昨年5月、日用品メーカー15社を中心とする日用品共同物流研究会が正式に発足した。16年7月に解散したプラネット物流の共同物流に参画していた企業が再び集結、新たな共同化のモデルを探っている。その幹事役と日用品プラットフォームの今後の展開について意見を交換した。 (進行役:本誌編集部)

大塚倉庫
代表取締役社長
濵長一彦
サンスターグループ
経営統括本部
ロジスティクス担当
理事
荒木協和
サンスターグループ
経営統括本部
ロジスティクス担当
理事
荒木協和

プラネット物流の教訓

─サンスターは2016年7月に解散した日用品メーカーの共同物流運営会社「プラネット物流」に創設時から資本参画し、積極的に活用してきました。

サンスターグループ 荒木協和 経営統括本部ロジスティクス担当 理事「中堅以下の日用品メーカーにはどうしても共同化が必要なのです。日用品は通常、メーカーから卸店様を通じて全国の販売店様に届けられます。メーカーからは卸店納品なのでまとまっているようですが、当社の場合でお届け先は全国に550カ所あります。週に2回納品で1回の平均納品ケース数は84ケース、1トン弱しかありません。この計算は単純平均なので、実態はもっと少ないお届け先が80%です」
「それでもプラネット物流が解散したのは、卸店の寡占化と物流会社の事業方針の変化が大きな理由です。昔は地域別・メーカー別に分かれていた卸店が近年は大手2社で70%以上のシェアを占めるまで集約されました。このため1回の納品量は増加しました。共同化がさらにそれに拍車をかけます。しかし運送会社は人手不足で、一度に多くのトラックを用意することが困難になっています。共同化によるスケールメリットが、逆にデメリットになってきたのです。そうなると東京・名古屋・阪神はメーカーが単体で拠点政策を考えねばならなくなる。その結果、プラネット物流の『全国統一の共同保管による物流』というビジネスモデルが役割を終えたということだと思います。今後は、共同物流を必要とするエリアで、それぞれの地域の事情に適した共同化が求められます。その証拠に北海道と九州では、以前と同じメンバーで共同物流が続いています」

─大塚グループのアース製薬はもともとプラネット物流に参加していませんでした。

大塚倉庫 濵長一彦 代表取締役社長「以前にプラネット物流から何度か提案を受けたことがあり、アース製薬に代わって当社が検討したのですが、拠点政策、コスト面で合いませんでした。アースも含めて、われわれ大塚グループは全国翌日配送を大事にしています。そのためにアースは在庫拠点を北海道から九州まで9カ所に分散しています。日用品メーカーは、北海道、関東、関西、九州の4拠点体制が多いのですが、その2倍以上ある」

サンスター・荒木「今は4拠点から路線会社を活用して全国翌日配送ができています。ただし路線便が1件1トン以上の物量を運ばなくなると、それも難しくなるでしょう」

─昨年5月、プラネット物流に参加していた企業が改めて「日用品共同物流研究会」を立ち上げました。目的は何ですか。

サンスター・荒木「個人的には二つあると考えています。まずは情報共有です。物流環境は短時間で著しく変化しています。変化に適応するには、発荷主と物流会社、できれば着荷主までが情報を共有し対応する必要があります。しかし、中堅メーカー単体で着荷主まで情報共有するのは限度がある。そのため、メーカーと物流会社が自由に話せる場を設けておきたかった。もう一つは、納品トラックの待機時間や作業付加などの労働環境改善です。納品条件の緩和などを取引先に申し入れるのも、やはり単一メーカーでは困難です。従来はプラネット物流がメーカーと物流会社両社の代理人として、着荷主と現場改善を進めていました。この部分を研究会で何とか継続させたいと考えました」

─日用品メーカーの物流共同化は今後どう変わっていくのでしょうか。

サンスター・荒木「目的に応じて共同化を組むユニットが時々で変わるようになると思います。規模が同じレベルのメーカー同士、あるいは納品先が同じで荷物の相性がいい、明らかにシナジーを発揮できる組み合わせを見つけて、柔軟に共同化を仕掛けていくようになると見ています。またリテール販売とEC販売でも組み合わせは変わってきます」

大塚倉庫・濵長「われわれは従来から荷物の相性にこだわってきました。重量勝ちの商品と容積勝ちの商品、夏にピークが来る商品と冬型商品を共同化することで、車両の積載率を上げて物量を平準化する。日用品プラットフォームでは、夏型のアース製薬が冬型のバスクリンと白元を買収したので、3社の物流を統合することで効率化を図っています」

車両不足が拠点分散を促す

─アースのインフラに他の2社を集約した?

大塚倉庫・濵長「そうではなく3社の物流を統合した時の最適な拠点配置と規模を分析して、条件を満たす施設を探しました。プラットフォームと聞くと固定化したインフラをイメージするかも知れませんが、われわれはハードを固定化せず、環境の変化に合わせて柔軟にプラットフォームの姿を変化させていくことが最適化のポイントだと考えています。今後もプラットフォームに参加するメーカーが増えれば、あるいはアイテムやチャネルが変化することで最適な形はさらに変わっていく」

サンスター・荒木「プラネット物流は〝同じ倉庫での共同保管ありき〟が制約になった面がありました。濵長社長のお考えは正しいアプローチだと思います」

─人手不足、車両不足は日用品の物流にこれからどう影響してくるでしょうか。

サンスター・荒木「車両不足でも最も足りないのは遠距離です。これまでは発倉庫から500キロメートル圏までを配送距離としていましたが、350キロメートル程度が限界になってきています。その結果、現在の4拠点体制では翌日配達が難しくなってきた」

大塚倉庫・濵長「車両の確保やリードタイムの問題に加えて、コスト的にも拠点を分散して支払い運賃の増加を抑制した方がいい環境になってきました。具体的には東北や中国地方にも在庫を置く必要が出てきた。関東も1拠点ではカバーできない」

サンスター・荒木「その通りですが、メーカーは6拠点、8拠点と在庫が分散すると、在庫のコントロールができなくなることを恐れます。在庫量の増加や偏りによる無駄な経費が発生する」

大塚倉庫・濵長「当社はグループ会社から在庫のコントロールまで任されているので、グループ外のメーカーにも同じようにアウトソーシングしてもらえます」

サンスター・荒木「大塚倉庫の『在庫の可視化』や車両管理システム、IoTによるコックピット管理などを、もっと広くアピールされたらいかがですか。非常に進んだシステムだと思います。拠点倉庫の在庫を、荷主が自身の本社でコントロールできると判断すれば、拠点数を増やしても問題はない。それで配送の品質とコストが安定するなら逆にウエルカムです」

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